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最高裁判所第三小法廷 昭和49年(あ)2250号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人川崎隆司の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、その実質は、刑法五四条一項前段の解釈適用の誤りをいう単なる法令違反の主張にすぎず、同第二点は、量刑不当の主張であって、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない(なお、運転技術が未熟であり、しかも酒酔いのため自動車の運転を避けるべき注意義務があるのにこれを怠り、あえて運転を開始した重大な過失により、運転開始後約一〇〇メートル進行した地点で、酒の酔いと運転技術未熟のため的確なハンドル操作ができず自車を道路右側のブロック塀等に衝突させて、同乗者三名に傷害を負わせたという本件事案について、酒酔い運転の罪と重過失傷害の罪は、刑法四五条前段の併合罪の関係にあるとした原判断は、正当である。)。

よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項但書により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己)

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